リハビリテーションの基礎知識

リハビリテーションとは?定義や意味を歴史的に分かりやすく解説

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日本におけるリハビリテーションの歴史は実はそこまで古くなく、1世紀にも達しておりません。医療サービスとしてのリハビリテーションという言葉が使用され定義づけられたのも平成4年の1992年の医療法の改定の際なのでまだまだ正しい意味でのリハビリを理解している方やそもそもリハビリ専業従事者の存在も認知度はとても低い現状です。

実際に病気や怪我をした経験をお持ちの方が院内リハを通じてその存在を知り徐々に普及していったという背景があります。

ここではリハビリテーションとは一体どういう意味でどのように定義づけられているのかについて歴史的背景から我が国のリハビリテーションについて解説しますが、より専門的で詳しい内容を知りたい方は種々の専門書籍を参考にされると良いでしょう。

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リハビリテーションとは?

現在は病気や怪我を治す目的で使用される”リハビリテーション”ですが、世界的に”現在の”リハビリテーションという言葉が使われるようになったのは第1次世界大戦の戦時中から戦後といわれており、戦争で負傷した兵士の短期回復のための兵士リハビリテーションがきっかけとも言われております。

さらに深い歴史を振り返ってみると聖女ジャンヌ・ダルクとも深い関わりを持っていることも明らかになっています。

つまり、医療的なリハビリテーションが戦争を境に世界的に普及した一方でそれ以前は地位や名誉の挽回や復権という意味でリハビリテーションという言葉が使われていたのです。

リハビリテーションの定義

そのため、リハビリテーションという言葉は医療現場以外の文脈でも登場するため、一般に広く受け入れられている特定の概念となっていないので一言で定義づけることは非常に難しいと結論づけることができます。しかし、それぞれの分野での定義の意味や理念を簡単に解説することはできるのでここではその各種の定義をご紹介します。

 

医学的リハビリテーションの理念の確立

医学的なリハビリテーションは兵士リハビリテーションに歴史があると前述しましたが、第2次世界大戦以前には用語として確立はまだしていませんでした。リハビリテーション医学という言葉は1950年代前半に現れて1960年代後半んいなって急速に広まっていきました。

第1次世界大戦

戦争による負傷者は社会復帰への「ポストケア(post care)」「アフターケア(after care)」を受けていたが、この時はまだ色々な言葉当てられており共通の概念は存在していなかった。アメリカでは「復興(reconstruction)」の言葉が普及していた。

第2次世界大戦

「reconstruction(復興・再建)」「reconditioning(回復・改良)」「reeducation(再教育)」「convalescent care(快復期ケア)」「rehabilitation(リハビリテーション)」などが使用されており、戦後にリハビリテーションに統一された。

1960年〜1970年代

リハビリテーションの目標が職業再訓練だけではなく個人が生活全ての機能を発揮できることへと拡大する。

「リハビリテーションとは、患者が身体的・心理的・社会的および職業的に普通に生活できるように、患者の最大の可能性に到達するという目標に向けて、患者を治療し訓練することを意味する。この拡大された概念とともに、リハビリテーションは各障害者の特定な機能的制限や残存機能、ニーズの総合的評価に基づいた、活力ある包括的過程となった」

Krusen et al.(1971)

「障害(disability)がある場合、機能的能力(functional abikity)が可能な限り最高の水準に達するように個人を訓練あるいは再訓練するため、医学的・社会的・職業的手段を併せて、かつ調整して用いること」

世界保健機関(WHO1968)

と定義しており、

「患者が身体的・精神的・社会的・職業的能力を最大限に回復すること、それもできるだけ短期間で」

と1972年の医学的リハビリテーションに関するメーア報告で述べられており、時間的制限が導入された。

現在の定義

「障害(disability)」の多様化により医学的概念だけではなく社会・経済・政治をめぐる概念となり

「障害者が身体的・心理的・職業的な可能性を最大限に発揮できるようになることを目的とした過程あるいはプログラム」

Dell Orto et al.(1995)

と定義されており、現在では個人の生活機能(functioning)の改善に関わる領域となっています。

 

国際障害者年以降のリハビリテーション

国際障害者年とは:障害者の権利に関する指針の普及のために世界的に行われた啓蒙活動初年の1981年を国際障害者年と決議。1970年代以降、障害者に対する理解が世界各国から得られなかったために1976年の総会で決定した。

その際に決議された内容が以下。

「リハビリテーションは、障害(disability)やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。リハビリテーションは、障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりではなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身・家族・彼らが住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関係するサービスの計画や実行に関わり合わなければならない」

この定義には1960年〜1970年代になって展開された障害者の社会的統合(social integration)やノーマライゼーション(normalization)の理念、自立生活(independent living:IL)運動などの影響が反映している。

高齢者に対するQOLの維持向上のためのリハビリテーション

1980年代になると老人問題が取り上げられ、リハビリテーションの目標として「生活の質(quality of life:QOL)」の向上が重視されるようになり、その際のリハビリテーションの目的を以下のように定義付けた。

「個人の生活機能や環境状況お回復すること、あるいは残存する生活機能を維持、最大にすること」

高齢者に対する保険医療サービスや福祉サービスは寿命の延長よりもQOLの維持向上に重点を置いている。

QOLの主要な目標

  1. 生活機能の低下を予防する
  2. 社会的問題や痛み、鬱状態などによるQOLの低下を予防する
  3. 親族関係の崩壊を防止する
  4. 可能な限り在宅生活を維持する

現在のリハビリテーションの定義とは

1900年代後半に急速に普及していったリハビリテーションだが、これまで解説したように戦傷者・障害者・高齢者を含む社会生活全体まで影響を及ぼしている。現在、一般的に広く普及しているリハビリテーションの定義は以下だ。

「リハビリテーションは、個人の生理的、解剖的あるいは生理的な機能障害、環境の制約、個人の希望および寿命と一致した身体的・心理的・社会的・職業的・余暇的および教育的可能性が最大に達するまで個人を手助けする過程である。患者と家族、関与するリハビリテーション・チームは、たとえ機能障害をもたらした病理学的過程が不可逆であっても、現実的な目標を設定して、残存障害(機能的制限)があっても最適な生活機能を獲得するための計画を、成し遂げるように協力する」

(Haas 1993)

 

日本におけるリハビリテーションの意味や定義

現在の日本におけるリハビリテーションはそのような背景のもと職場復帰や経済的自立を支援する目標にととどまらず、障害の原因となる疾病などの予防や治療のためのリハビリテーションも図られるようになっている。

加齢に伴う退行変性や老化の予防や維持、病気や怪我を治療し以前の状態に可能な限り近づけること、病気や疾病の2次障害のリスクを避けるための生活指導や予防リハビリテーション、そもそも障害の原因となる病気や怪我を予防するためのリハビリテーションなどが現在の主なリハビリテーションの目的となっており、私たちの生活と切り離せない重要な部分を担っている。

リハビリテーションに関わる各種専門職

  • 医師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 心理士
  • 看護師
  • 保健師
  • 医療ソーシャルワーカー

主なリハビリテーションの手段や方法

  • 理学療法
  • 作業療法
  • 言語訓練
  • 聴能訓練
  • 視覚障害者の生活訓練
  • リハビリテーションスポーツ
  • リハビリテーション看護
  • 心理療法
  • カウンセリング
  • ソーシャルワーク
  • 補装具・自助具・日常生活用具の支給
  • 職能訓練
  • リハビリテーション工学と福祉機器
  • 身体障害者補助犬

 

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